農業共済新聞の紹介

近畿版京都支局記事

2018年9月4週号

獣害ゼロへ 私たちのアプローチ

小山 愛生さん 宮津市上世屋地区

 野生動物との共存・共生は、農作物被害を減らす鍵になるといわれている。棲み分けの定着を目指す取り組みが獣害ゼロにつながり、里山の恵みを享受する楽しみにもつながっている。

小山さん

「面白いのはくくり罠。先人の知恵や技術を学び、狩猟技術を磨きたい」と小山さん

簡易獣肉解体施設

簡易獣肉解体施設の設置には、地区での話し合いを何度も重ねた

 「罠に丸々太った獲物がかかると、山々の力を感じます」と話す宮津市上世屋地区の小山愛生(こやまひでき)さん(37歳)。稲作で生計を立てる人のたくましさに魅せられ、2014年、棚田が広がる上世屋地区に移住した。
 現在2ヘクタール・約50筆の棚田で農薬を使わない米作りを行い、農家組合長を務める。冬場は雪深く農業ができないため、狩猟で家族を養う。
 小山さんが狩猟期間に捕獲したシカやイノシシの肉は、府北部の丹後地域で野生鳥獣肉(ジビエ)料理を提供するレストランなどに販売している。
 「この山で捕れたものはおいしいと人気があります。肉質の良しあしは口コミで広まるので、品質は絶対に落としたくない」と、頭数よりも良い猟場で育った良質な個体の捕獲に力を入れる。捕獲直後に必ず自らが止め刺し(最後の一撃)を行い、確実に放血するなど、肉質の管理を徹底させる。

捕獲技術を磨きつつ高品質ジビエ提供

 これまでは卸業者に販売していたが、今年2月に約35平方メートルの簡易獣肉解体施設を設置。処理頭数が少なくても黒字化できるようコストを抑え、解体から販売まで行える。獣肉店として地区の冬場の収入源も確保。「狩猟で生活したい人を募集しています」と定住を呼び掛ける。
 同地区の住民は半数以上が移住者。小山さんは地域を存続させるため、定住者を呼び込む活動の代表も務める。
 近年、宮津市の獣害は減少傾向にあり、防護柵の設置や捕獲活動による個体数の減少が寄与している。一方、猟友会員の減少と高齢化が深刻で、後継者育成が急務となっている。
 宮津市産業経済部農林水産課の井上一希さんは「小山さんの頑張りは周囲に良い刺激を与えていると思います。今後も熱い思いを持って活動してほしいです」と期待する。


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